• 検索結果がありません。

研究機構の教育研究等の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置 分子研リポート2004 | 分子科学研究所

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "研究機構の教育研究等の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置 分子研リポート2004 | 分子科学研究所"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

6-1 研究機構の教育研究等の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置

6-1-1 研究に関する目標を達成するための措置

(1) 研究水準及び研究の成果等に関する目標を達成するための措置

(機構共通)

大学共同利用機関法人自然科学研究機構(以下「本機構」という。)は,天文学,物質科学,エネルギー科学,生命 科学等,自然科学分野(以下「各分野」という。)における研究所等の役割と機能を充実させる。

また,統合バイオサイエンスセンターにおける研究の推進など,研究所間の連携による新たな分野形成の可能性を 検討する。

国際専門誌上や国内外の学会,討論会等で研究成果を積極的に公表する。

研究所等に研究所長等の諮問機関として所外研究者を含む運営会議を置き,共同研究計画に関する事項,研究者人 事等に関する事項及びその他機関の運営に関する重要事項で研究所長等が必要とするものについて諮問する。

各専門分野において国内の外部委員を含む委員会で自己点検を行い,国際的に第一線で活躍する著名な研究者によ る評価に基づいて研究水準・成果の検証を行う。

自らの研究水準を高めるとともに,高度な研究者を養成し大学等研究機関に輩出する。

本機構では,構成5大学共同利用機関(国立天文台,核融合科学研究所,基礎生物学研究所,生理学研究所,分子 科学研究所)において,当該研究分野コミュニティを代表とする外部委員を含む運営会議をそれぞれ設置し,各機関 長(研究所長)は運営会議に対して各機関の運営のための諮問を行ってきた。平成16年度は機構全体として19回(分 子研は3回)の運営会議が開催され,共同利用・共同研究に関する事項,研究所の教育研究職員の人事及びその他重 要事項について審議した。

さらに,各機関では,外部委員(一部は外国人研究者を含む)を含む評価組織を立ち上げて,各専門分野の研究の 成果と進捗状況,研究施設の運営と将来計画,研究者個人の業績などについて自己点検及び外部評価を実施した。

また,本機構に評価担当理事を設置して,その下に評価タスクフォースを置き,各専門分野において研究成果の内 容及び公表の状況等など研究活動の資料,研究者等の大学や研究機関との交流の状況等をまとめた。

(分子科学研究所)

個々の研究の詳細については本リポートの各研究グループの研究活動の項(研究系および研究施設の現状)を参照 のこと。

分子科学分野において,光・X線・電子線・磁場等の外場,極低温等を利用する最先端の物理化学的方法,分子物 質の設計・合成手法,超高速計算機による理論シミュレーション等を駆使し,分子及び分子集合体の構造・機能等に 関する実験研究並びに理論研究を行う。

① 化学反応や分子物性を支配する普遍的な因子を理論的に解明し,反応予測や新物性の設計を可能とする分子理論 を構築する。

理論分子科学研究系を中心に,ナノ構造と元素の特性を利用した機能性分子の設計と計算,分子シミュレーション における新しい拡張アンサンブル法の開発,朱−中村理論による分子機能の開発と制御,時間依存密度汎関数理論に 基づく多電子ダイナミクスの実時間解析,3D -R IS M理論による水中の蛋白質の自由エネルギーと部分モル容積の計算, 光誘起イオン性中性相転移におけるフォノン・コヒーレンスの解明などの研究を進めた。

(2)

② 精緻で高度な分子分光法を発展させ,分子や分子集合体の状態評価手法としての確立を図る。併せて,実用的な 物性評価装置,計測装置を提案する。

分子構造研究系,電子構造研究系を中心に,表界面や金属クラスター・微粒子等の新規な分光測定手法の開発と光 学特性・電子構造の解明,原子分子の励起状態の挙動解明と位相制御の研究,高度な分光手法による生体分子ダイナ ミクスの解明等の研究を進めた。

③ 分光学や光化学反応の光源として,新しいレーザーの開発及び放射光による極端紫外光源の開発を行い,さらに 化学反応動力学や新物質創成等の利用研究を推進する。

極端紫外光科学研究系,極端紫外光研究施設,分子スケールナノサイエンスセンター,分子制御レーザー開発研究 センター,電子構造研究系の連携によって,短波長自由電子レーザー,各種テラヘルツ光源,擬似位相整合ブロード バンド光源,アト秒レベル超精密コヒーレント制御などの新光源,新計測法,および各種の新規ナノ物質の開発研究 を行った。

④ 新しい機能を有する分子,ナノスケール分子素子,分子性固体等を開発し,物質開発の指針を確立するための物 性研究を行う。

分子集団研究系,分子スケールナノサイエンスセンター,錯体化学実験施設を中心に,高性能の電気物性を示す有 機分子,特異な化学反応性を示す金属錯体分子,新規の光物性を示す金属ナノ粒子の開発とその物性評価の研究を進 めた。

⑤ 実験では解明不可能な化学現象・物理現象の根元的な理解を深めるため,理論及びコンピュータシミュレーショ ンによる研究を進める。

計算分子科学研究系,計算科学研究センターを中心に,ナノスケールの大規模分子系の計算に向けて,高並列計算 機に適した分子動力学等の専用プログラムの開発研究を進めた。

(2) 研究実施体制等の整備に関する目標を達成するための措置

(機構共通)

① 本機構に研究連携委員会及び研究連携室を設置して,研究所等の間の研究連携並びに研究交流の促進を図る。 本機構では,研究連携委員会(親委員会)を設置し,研究連携委員会及び研究連携室会議を開催するとともに,よ り機動的・実務的に審議や作業を行うため,同委員会の下に「研究連携に関するタスクフォース」を設置し,平成16 年度は4回開催して研究所等間の研究連携及び研究交流の具体的方策について審議を行った。「イメージングの科学」 を課題の一つに選定し,分子科学研究所が大きく関わった形で平成17年度に具体化することになった。

② 本機構研究連携室を中心に知的財産の創出・取得・管理・活用を積極的に行うため,システムを整備し,効果的 な活用を促進する。

本機構では,知的財産委員会を設置するとともに,各機関でも知的財産の創出・取得・管理・運用を行うための体 制を整備した。

(3)

③ 各研究所等は,定期的に自己点検及び外部評価を行い,その結果に基づき,研究の質の向上に努めるとともに適 正な研究実施体制等の整備を図る。

分子科学研究所では,研究所の運営方法・全体的活動に対する評価と,各研究グループの研究活動に対する評価を 3年に一度行っている。前者の評価委員は外国人運営顧問(法人化前の外国人評議員)と運営顧問,後者の評価委員 は研究系・施設毎に最低2名の所外研究者(外国人を含む場合あり)としている。平成16年度は,極端紫外光研究施 設,分子制御レーザー開発研究センター,分子スケールナノサイエンスセンター,計算科学研究センターの外部評価 を行った。外国人を含む運営顧問の評価も実施した。研究所,研究系,施設に対する全体的な評価結果については本 分子研リポートに掲載されているが,それ以外に非公開の評価結果が所長に報告されている。非公開のものには研究 者個人の評価が含まれている。また,全研究グループリーダーの研究ヒアリングを行い,研究顧問による評価を実施 した。さらに,60歳を迎える教授に対し国内外の研究者若干名による評価が行われた。これらについての評価結果は すべて非公開のものとして各委員から所長に報告があった。

④ 適切なポストドクトラル・フェローシップの構築を検討する。また,研究支援を行うスタッフの充実と資質の向 上を図る。

分子科学研究所では,平成16年度はIMS フェローという呼称のポスドクを22名雇用した。優秀なポスドクを獲得す るために,以下のような制度を設けている。①原則として採用は4月からとする。②毎年6月までに研究所内でIMS フェローの配分希望調査を行い,所長はその中から10名程度,配分する研究グループを選ぶ。③9月から12月の3ヶ 月の公募期間を設ける。④候補が決まり次第,所長に推薦し,所長の判断を仰ぐ。その後,主幹施設長会議,教授会 議を経て2月までに採用を決定する。⑤所長はIMSフェローに助手と同額の研究校費を配分する。なお,推薦した 候補の採用が認められなかったり,候補が見つからなかったりしたグループリーダーは所長にポストを返上すること になっている。

⑤ 他研究機関,大学,企業との研究者の交流を促進するための研究部門の充実を図る。

分子科学研究所では,客員研究部門を設置することで,通常の共同利用を越えた共同研究を推進する仕組みを持っ ている。また,分子研にほとんど常駐して研究を行う客員研究者については所内研究者に準拠する研究環境(予算,研 究スペース,研究支援者など)を所長は与えている。

⑥ 本機構内の共通研究施設,センターとの兼担制度を設け,境界領域の分野の発展を促す。

岡崎共通研究施設(岡崎統合バイオサイエンスセンター,計算科学研究センター等)との一体的運営による研究推 進を目的として,関連する基礎生物学研究所,生理学研究所及び分子科学研究所の研究教育職員を岡崎共通研究施設 に勤務命令させる制度を設けて,運用している。

(分子科学研究所)

① 大学との連携を基に一定期間,分子科学研究所の一員として研究に専念できる制度の構築に努める。

従来の流動研究部門に替わる専任的客員研究部門として分子スケールナノサイエンスセンターに先導分子科学研究 部門を設置し,新しい制度の整備を進めた。

(4)

② 研究系と施設が適切に連携した柔軟性ある組織に再編・整備するとともに,研究成果を上げるため,研究設備の 利用促進と整備を行う。

計算分子科学研究系を設置し,研究部門の整備を進めた。新しい光分子科学の開拓を行うための連携研究の立ち上 げ準備を行った。各研究グループの所内連携も進めた。

6-1-2 共同利用等に関する目標を達成するための措置

(1) 共同利用等の内容・水準に関する目標を達成するための措置

(機構共通)

① 各専門分野における共同利用・共同研究の内容や水準を向上させるための基本的方策を策定し,具体的運営に関 して,運営会議に諮り審議する。

本機構では,共同利用規程を制定した。共同利用・共同研究・研究会の具体的運営は,各機関の運営会議の審議を 受けて,基本的方策を策定している。

分子科学研究所では,課題研究(数名の研究者により特定の課題について行う研究。最大3年間有効),協力研究(所 内の教授または助教授と協力して行う研究),研究会(所内外の研究者によって企画される20∼40人規模の研究討論 会),施設利用の枠で公募している。

② 各専門分野において成果を上げるため,本機構の所有する特徴ある大型装置や大型施設を活用した共同利用・共 同研究を推進する。また,共同研究の相手方機関の設備・研究環境も活用できるよう,必要に応じて本機構研究者を 派遣する等,双方向性のある研究体制を整備する。

本機構では,共同利用・共同研究・研究会は,公募を原則とすることを義務付けられている。分子科学研究所では, 主幹施設長会議,教授会議で公募要領の見直しを行っている。双方向型の研究体制は核融合科学研究所において整備 された。

分子科学研究所では,計算科学研究センターのスーパーコンピュータや極端紫外光研究施設(UV S OR 施設)の放射 光実験装置の利用促進のため,施設利用での対応ばかりでなく,課題研究と協力研究においても利用を可能としてい る。

③ 共同利用公募を行い,利用者の代表を含む委員会で,審査によりテーマを採択する。共同利用・共同研究の運用 全般について外部委員を含む委員会で検証し,検証結果を運用に反映させる。

分子科学研究所では,所外委員を含む共同研究専門委員会を運営会議の下部組織として位置づけて設置し,共同利 用・共同研究・研究会についての申請課題の採否案作成,実施方法の見直しなどについて検討し,運営会議で最終決 定している。施設利用については各施設に置かれた運営委員会で申請課題の採否を決定している。施設利用の検証に ついては各施設の外部評価によって行っている。その結果は本分子研リポートで公開している。

④ 我が国の代表的な学術研究機関として,各専門分野の国際的窓口としての機能を向上させ,国際的共同研究,相 互の共同利用及び国際的協定に基づいた様々な協力活動を積極的に行う。

分子科学研究所では,日本学術振興会の諸制度を利用した国際共同研究,研究所の外国人客員研究部門の運用に加 え,「物質分子科学」「光分子科学」「化学反応ダイナミクス」の重点3分野に関して独自の国際共同研究制度(平成17

(5)

年度は7件を選定)を開始し,中国及び韓国の若手研究者の長期(6ヶ月)滞在やフランス,ドイツ,イタリア等か らの研究者の短期訪問による共同研究を実施した。平成17年度に向けて,特に東アジアを初めとする世界の研究者を 受け入れ,世界の拠点研究所として研究者交流と共同研究を実施するための検討を行い,中国化学研究所,韓国高等 科学技術院分子科学センター,台湾中央研究院原子分子科学研究所と研究協力の覚え書きを交わした。

⑤ 共同研究・共同利用の実施,募集,成果等について情報公開を積極的に行い,新たな利用者や研究者の発掘に努 めるとともに,利用者の便宜に供する。

分子科学研究所では,共同利用・共同研究・研究会の募集については研究所のホームページに掲載するとともに,学 会誌に掲載している。申請書式も電子化されている。研究成果に関しては A nnual R eview, 本分子研リポート,分子研 レターズ,各施設の A ctivity R eport 等で公表している。

⑥ 共同利用・共同研究環境の整備強化や情報ネットワーク等インフラストラクチャーの整備を行う。 本機構事務局に情報ネットワーク及びTV会議システムを設置し,各機関と容易に連携をとれるようにした。

⑦ コミュニティの研究者の参画を得て計画の具体的立案及び研究課題の抽出を行う。

分子科学研究所では,共同研究専門委員会及び各施設の運営委員会で半年毎に検討を進めている。

⑧ 国内外との共同利用・共同研究を通じて学際的な研究の推進にも恒常的に取り組む。

本機構では,平成17年度の分野間連携における学際的・国際的研究拠点の形成に向けて,国内外との共同利用・共 同研究・研究会を通じて学際的な研究の推進について検討を行った。

⑨ 共同利用・共同研究を推進するため,高度な実験・観測装置を開発整備する。

分子科学研究所では,各施設の運営委員会で半年毎に議論し,大型装置,中型装置の高度化計画を策定しながら,予 算獲得に向けて活動している。

(分子科学研究所)

① 放射光及びレーザーを光源とする先端的光科学研究設備について,高度な共同利用・共同研究を推進する。また, 国内外の放射光科学の研究動向を見極めて大型研究施設の整備を進める。

先端的光分子科学研究設備について,共同研究を進めながら,外部評価を参考に,強化策を検討した。特に,極端 紫外光研究施設については,関連国際会議や日本放射光学会で国内外の放射光科学の研究動向を見極めるとともに,外 部評価結果を参考に,施設整備を進めた。

② 巨大計算に向かっている計算科学,生物分子科学,ナノ分子科学の国内外における動向を見極めて超大型計算機 の整備を進め,高度な共同利用・共同研究を推進する。また,超高速コンピュータ網形成プロジェクト(NAREGI)【H 15∼19までの期限付きプロジェクト】を推進する。

超高速コンピュータ網形成プロジェクト(NAREGI)のシステム運用を開始し,利用研究を展開した。また,計算 科学研究センターの超大型計算機の強化について検討を進めた。

(6)

③ 高磁場核磁気共鳴装置等の先端的分光分析・物性評価装置について,高度な共同利用・共同研究を推進する。 高磁場核磁気共鳴装置を立ち上げて共同利用の準備を行った。既存先端的分光分析・物性評価装置については,更 に高度な共同利用・共同研究を推進するための見直しを行い,一部の装置を強化した。

(2) 共同利用等の実施体制等に関する目標を達成するための措置

(機構共通)

本機構に属する研究所等は,それぞれの特徴を生かして共同利用等の実施体制等に関して以下のような措置をする。

① 国内外の研究者との幅広い共同利用・共同研究を実施するための必要な施設,設備の研究環境を整備するととも に資源配分の公平性と透明性を図り,積極的な推進及び円滑な運営を目指して,組織,体制を構築する。

各機関では,機器開発を推進する組織や設備の整備を行った。分子科学研究所では,装置開発室と各研究者・施設 の連携によって,機器の開発をおこなっている。

② 資金・設備等を活用し,萌芽的研究及びその共同研究を進める。

本機構では,外部委員を含んだ共同研究委員会等(分子科学研究所では共同研究専門委員会)を設置して,共同利 用・共同研究・研究会の計画の採択,実施体制の検討を行っており,その際,萌芽的研究の推進の観点も充分考慮し ている。

③ 共同利用・共同研究の成果は,出版物等多様なメディアを利用し公表する。

各機関では,共同利用・共同研究・研究会の成果を要覧,年報(A nnual R eview,A ctivity R eport)等(分子科学研究 所では,他に分子研リポート,分子研レターズ)の出版物で公表するとともに,学術雑誌への掲載又はホームページ により研究成果を公表している。各報道機関にも成果発表している。

④ 共同利用・共同研究の運営・成果に関する外部評価を行い,その結果を将来構想等に反映させる。

各機関の主たる研究内容等について経営協議会及び教育研究評議会に報告するとともに,外部協議員,評議会員の 意見を聴取している。分子科学研究所では,外部評価をもとに将来計画委員会を開催し,研究所全体で将来計画を策 定し,本分子研リポートにその結果を掲載している。

⑤ 共同利用・共同研究における技術者の技術力向上のため,研修等を実施する。

本機構では,各専門分野において研修,研究会,講習を実施した。分子科学研究所では,技術専門職員研修(化学 コース),放射線同位元素等取扱施設安全管理担当職員研修,放送大学利用による職員研修に参加した。

⑥ 特別共同利用研究員等若手研究者に対する研究支援の強化を図る。

各機関に大学院教育委員会又は特別共同利用研究員受入審査委員会を設置し,若手研究者に対する研究支援の強化 について検討した。総合研究大学院大学の学生に加えて,特別共同利用研究員にもRA制度を開始した。

⑦ 共同利用者用の宿泊施設等の研究環境を整備する。

機関が管理する共同利用者用宿泊施設の利便性の向上を図るため,インターネットを利用した空室状況の確認,予 約を可能とした。

(7)

⑧ 実験・観測データの公開を一層進めるとともに,広く利用できるデータベースを構築する。

(分子科学研究所には該当しない)

6-1-3 教育に関する目標を達成するための措置

(1) 大学院への教育協力に関する目標を達成するための措置

(機構共通)

① 大学共同利用機関としての特長を生かした特色ある教育を実施する。大学院教育を機構の重要項目として位置づ け,総合的に大学院教育を検討する組織を機構に設ける。また,具体的事項(受託,単位認定,研究教育等)につい て検討する組織として,各研究所に委員会を設置する。

各機関では,専攻委員会を設置している。分子科学研究所では,構造分子科学専攻委員会と機能分子科学専攻委員 会が置かれており,原則として8月を除く毎月第3金曜日の午前中に開催している。機構全体の取り組みについては, 副機構長が専攻長を兼ねているため,機構会議(月一度開催を原則)で意見交換を行っている。

平成18年度から5年一貫制を導入する国立天文台,核融合科学研究所及び分子科学研究所では,設置構想,教育課 程(授業科目や単位),教員組織,平成17年度実施の入試方法の詳細について検討している。

② 研究所等は,総合研究大学院大学と緊密に連携・協力し,特色ある大学院博士課程教育を以下の専攻において実 施する。

  ア 核融合科学研究所に設置された核融合科学専攻   イ 基礎生物学研究所に設置された分子生物機構論専攻   ウ 国立天文台に設置された天文科学専攻

  エ 生理学研究所に設置された生理科学専攻

  オ 分子科学研究所に設置された構造分子科学専攻及び機能分子科学専攻

6専攻の教員約360名が学生160名に対して52講義(専攻をまたぐ共通科目を含む),163演習を実施し,単位認定し た。また,44人(内,論文博士5人)の博士の学位を授与した。分子科学研究所では,それぞれ次のような数値になっ ている。8講義,41演習,12人(内,論文博士4人)。また,各専攻におけるセミナー,英語教育等の総合的教育に加 えて,分子科学研究所では,「総研大岡崎レクチャーズ:アジア冬の学校」,「第1回夏の体験入学」,「第14回分子科学 研究所オープンハウス」を実施した。

③ 東京大学大学院理学系研究科,名古屋大学大学院理学研究科,同工学研究科との協力による大学院教育を実施す る。

分子科学研究所では,連携大学院制度に基づき,京都大学大学院理学研究科と教員,学生の交流を実施。

④ 研究所等は,国立大学法人の要請により連携大学院制度や特別共同利用研究員制度により大学院教育に協力する。 本機構では,110名の特別共同利用研究員(分子科学研究所は17名)を受入れ,大学院教育を行った。

⑤ リサーチアシスタント制度の活用などにより,大学院生に対する支援を行う。

本機構では,163名のリサーチアシスタント(分子科学研究所は31名)を採用し,研究者育成を行った。

(8)

⑥ 学生に多様な教育の機会を与えるとともに,カウンセリングなど心と体のケアにも配慮する。

分子科学研究所では,研究科共通専門基礎科目を設置するなど,他専攻との単位互換制度の充実を図った。また,外 部委託によるカウンセラーを配置し,年10回のカウンセリングを実施した。

(2) 人材養成に関する目標を達成するための措置

(機構共通)

本機構は以下のように,各種ポストドクトラル・フェローシップを整備し,若手研究者の育成と流動化の促進に努 める。

① 大学院修了後やポストドクトラル・フェローシップ任期終了後の活動状況の把握に努め,今後の方策の指針とす る。

分子科学研究所では,進路先の調査は転出時に行っているが,追跡調査はしていない。

② 本機構で教育指導を受けた大学院生等の博士号取得後の進路について,若手研究者の流動化の一環として国内外 の研究機関への異動を推奨する。

各機関では,各機関に対する求人依頼・公募案内を定期的にまとめて掲示することで,大学院生等への就職情報を 提供している。分子科学研究所では,原則として指導教員が大学院生をそのままIMSフェロー(ポスドク)や助手に 採用することは禁じている。

③ 大学院生・博士号取得者の処遇改善方策について検討する。

分子科学研究所では,大学院生全員(日本学術振興会の研究員を除く)をリサーチアシスタントとして雇用してい る。博士号取得者に対しては,独自のポスドク制度(IMSフェロー)に加えて,文部科学省の支援プロジェクトや各 研究者が獲得した科学研究費補助金,JSTのプロジェクト経費,受託研究費等を使って,博士研究員(ポスドク)と して雇用している。その場合,雇用条件が同じ場合はIMSフェローの認定を主幹施設長会議で審議して与えることに している。

6-1-4 その他の目標を達成するための措置

(1) 社会との連携,国際交流等に関する目標を達成するための措置

(機構共通)

本機構は以下のように,社会との連携や国際協力等に関して具体的な計画を推進する。

① 自然科学研究における基礎的研究の重要性を広く社会・国民に訴え,得られた研究成果を国民と共有できるよう に広報・情報発信に努める。

本機構では,機動的,効果的に審議・検討を行うため,広報に関するタスクフォースを組織するとともに,基本計 画並びに実施計画を作成し,機構パンフレットの作成,本機構ホームページのリニューアルを図った。分子科学研究 所では,広報委員会に新たに広報担当専任技術職員1名を配置し,広報・情報発信の強化に努めている。

(9)

② 高度な技術力を持つ企業と様々な連携を図り,企業や企業内研究者との共同研究を進めるための方策について検 討する。

本機構では,知的財産ポリシー,利益相反ポリシー,産学官連携ポリシー,職務発明等規程,研究有体物取扱規程 について制定した。

分子科学研究所では,平成16年度の発明届件数は13件,特許申請件数は6件(機関有特許。手続き中1件を含む)で あった。民間企業からの研究費の受け入れは16件,研究員の受け入れは15人であった。

③ 研究成果やノウハウの活用のため,各種審議会,地方公共団体の委員会等への積極的な参加を推奨する。一般講 演会,ホームページ,資料等を通じて広く一般社会への情報発信に努める。産業界に向けた研究成果や技術成果の発 信にも努める。

本機構では,大学共同利用機関法人自然科学研究機構役員等兼職規程及び職員兼職規程に基づき,各種審議会や学 会・地方公共団体の委員会等への参加を認めている。また,各機関では,一般講演会を実施し,そのポスター及び実 施状況をホームページで公表するなどして,一般社会への情報発信に努めている。分子科学研究所では,一般講演会 として豊田理化学研究所との共催で「分子科学フォーラム」を2ヶ月に1回の割合で開催している(平成16年度は6 回実施)。講演者に分子科学や周辺の分野の第一線の研究成果を近隣の多くの市民を含めた参加者にわかりやすく紹介 してもらうものである。

④ 生涯学習・学校教育・専門家教育面で地域からの要請に積極的に対応する。

分子科学研究所では,愛知県立岡崎高校のスーパーサイエンスハイスクールに積極的に協力した。

⑤ 研究成果を海外や国内の大学・研究機関の研究者へ積極的に公開する。国際会議や学会の企画,および様々な情 報発信媒体(ホームページ,パンフレット,解説資料(英語版も整備))を通じて公表する。

研究成果は学術論文及び学会発表として公表するとともに,ホームページ,メディア,パンフレット等で積極的に 公表した。

⑥ 国際シンポジウム・国内研究会を積極的に実施して,国内研究者の研究活動を支援する。会議の立案,サポート 体制等,具体的な実行案を策定する。

本機構では,国際シンポジウムを平成16年度は7件(分子科学研究所1件)開催し,国内研究会についても,各機 関において実施し,研究活動の支援を行った。

⑦ 科学技術協力事業,二国間,多国間等政府・機構・研究所レベルの国際共同研究事業を一層推進する。

各機関では,各種研究協力協定等を締結し,研究者の相互受入等,国際共同研究事業を推進し,年次報告等で公表 した。中でも,今年度は,東アジア(中国,韓国及び台湾)に重点を置き,連携協力を実施した。

⑧ 海外研究者,留学生,博士号取得者の受入れを推進するための制度の基礎整備を図る。

宿泊施設の利用案内を英語化するなどの利便性を図り,宿泊施設の内装,ユニットバス,ボイラー等の改修を行い, 生活環境の整備を図った。

岡崎市が国際学術研究交流特区としてみとめられ,外国人研究者受入れに関する規制が緩和された。

(10)

(2) その他

(機構共通)

① 図書,雑誌(電子ジャーナルを含む)の充実を図り,各専門分野の情報センターとしての機能を拡充する。 各機関では,論文検索システム及び蔵書検索システム等を整備するとともに,国立大学法人等が所蔵している図書 館資料(図書・雑誌)の所蔵状況を検索できる国立情報学研究所のシステムに加入し,情報センターとしての整備を 行った。

② 本機構本部,研究所等間のネットワーク等の整備を行い,情報連絡の効率的運用を図る。ネットワークセキュリ ティにも留意する。

本機構本部事務局と各機関の情報ネットワーク及びTV会議システムを整備して,情報連絡の効率的運用を図った。 セキュリティ強化の方策を検討・実施するとともに,担当者からなる連絡体制を整備した。

参照

関連したドキュメント

 21世紀に推進すべき重要な研究教育を行う横断的組織「フ

大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの

Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University...

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

【 大学共 同研究 】 【個人特 別研究 】 【受託 研究】 【学 外共同 研究】 【寄 付研究 】.

社会学研究科は、社会学および社会心理学の先端的研究を推進するとともに、博士課

世界規模でのがん研究支援を行っている。当会は UICC 国内委員会を通じて、その研究支

報告は、都内の事業場(病院の場合は病院、自然科学研究所の場合は研究所、血液